
窓際に座ると足元がひんやりする。暖房をつけても、窓のそばだけ寒い。東北の冬は、そんな窓の冷えに悩む家が多いと思います。
手軽な対策が窓の断熱シートです。ただ、シートは窓際の冷えを和らげる道具で、部屋全体を暖めるものではありません。そして意外と知られていないのが、貼れない窓があることです。網入りガラスやLow-Eガラスは熱で割れるおそれがあり、くもりガラスのザラザラした面には水で貼るタイプが使えません。わが家の居間の窓も、室内側がザラザラのくもりガラスでした。
この記事では、買う前に自分の窓を確かめる方法、シートが効く条件、賃貸での注意、シートで足りないときの次の手を順番にまとめます。
窓の断熱シートは効果なし?答えは期待する効果しだい
断熱シートは「効かない」わけではありません。できることとできないことがはっきりしている道具です。ガラスから伝わる冷えを和らげることはできても、部屋全体の温度を大きく上げたり、サッシやすき間から入る冷気を止めたりはできません。この線引きを知ってから買えば、「思ったほどじゃなかった」を避けられます。
断熱シートにできること
シートはガラスの表面に空気の層をつくり、外の冷たさが室内側へ伝わるのを和らげます。窓のそばに座ったときのひんやり感や、ガラス面の冷たさを和らげるのが主な役割です。
断熱シートにできないこと
できないのは次の3つです。
- 部屋全体を暖めること(暖めるのは暖房の仕事)
- アルミサッシ(窓枠)から伝わる冷えを止めること
- 窓のすき間から入る冷気を止めること
特にサッシとすき間は、シートを貼っても手つかずのまま残ります。
そもそも窓の対策が効く理由
冬に暖房の熱が逃げる先のうち、窓などの開口部が6割程度を占めるといわれています。家の中でいちばん熱が逃げやすい場所なので、小さな対策でも手を付ける意味があります。
断熱シートが効果なしと感じる4つの理由
「効果なし」と感じる原因は、商品の良し悪しより使い方と期待のずれにあることが多いです。空気の層の薄さ、サッシやすき間、貼り方、そして地域の寒さの4つを確認すると、自分の窓でシートがどこまで効きそうか見当がつきます。
シートの空気の層が薄い
気泡シートの空気の層は数ミリです。窓から伝わる冷えをゼロにするものではなく、和らげるものと考えてください。一般的な水貼り気泡シートの効果を、測定条件つきで示した共通の数値は見当たりません。「何度上がる」とうたう数字は、特定の商品と条件での値として受け取るのが安全です。
サッシやすき間から冷気が入っている
ガラスにシートを貼っても、アルミサッシやすき間からの冷えは残ります。窓の下のほうがスースーする、カーテンが揺れるといった場合は、ガラスよりすき間や窓際の冷気の流れが原因かもしれません。その場合は、後で紹介する断熱ボードやカーテンのほうが合います。
貼り方にすき間がある・一部だけ貼っている
ガラスの一部だけに貼ったり、端にすき間が残ったりすると、貼っていない部分から冷えが伝わります。ガラス1枚の全面を覆う大きさを選び、ガラスの寸法を測ってから買うのが基本です。
外が寒い地域ほどガラスが冷えやすい
東北のように外気が氷点下になる地域では、ガラスが強く冷やされます。シートで和らげても、元の冷え方が大きいぶん「まだ寒い」と感じやすくなります。寒冷地では、シートは最初の一歩と考え、足りなければボードやカーテンと組み合わせる前提で考えると失敗しにくいです。
貼る前に確認 自分の窓の見分け方
「使えるガラスを確認してください」という注意はよく見かけますが、どうやって確認するかまで書いている情報は多くありません。ここでは、家で見て触って確かめられる順に、網入り・くもりガラス・複層・Low-Eの4つの見分け方をまとめます。当てはまるガラスがあれば、そのガラスに対応した商品を選んでください。

網入りガラス
ガラスの中に金属のワイヤー(網や線)が見えれば網入りガラスです。
網入りガラスは熱で割れやすいため、水で貼るタイプの断熱シートは貼らないのが基本です。
くもりガラス(型板ガラス)
外が見えないガラスは、表面を手で触ってザラザラ・デコボコしていないか確かめてください。片面に模様をつけたこのガラスは、型板ガラスと呼ばれます。
わが家の居間の窓もこのタイプで、室内側がザラザラしていました。

ザラザラした面には、水貼りタイプは使えません。貼るなら、凹凸ガラス用の専用品を選ぶか、別売の専用シールで貼る方法があります。専用シールで貼った場合は、のりが残らないよう6か月を目安に貼り替えるよう案内されています。
複層ガラス(ペアガラス)
ガラスが2枚重なっていて、間に空気の層があるのが複層ガラスです。ガラスの端をよく見ると、2枚のガラスとその間の枠(スペーサー)が見えることがあります。サッシに隠れて見えない場合は、目で見ただけでは判断できません。
なお、複層ガラスは2枚のガラスを1組にした窓ガラスのことで、窓そのものを2つ重ねる「2重窓(内窓)」とは別のものです。
Low-Eガラス
表面に特殊な膜をつけて断熱性を高めた複層ガラスがLow-Eガラスです。見分ける手がかりはガラスの隅の刻印やマークです。
- YKK APの複層ガラスなら、室内側から見て右下の刻印に「LowE」と表示されている。ただし2005年9月以前の製品は刻印で判断できない場合がある
- 窓ガラスに「エコガラスマーク」があれば、Low-E複層ガラス
マークがないからLow-Eではない、とは言い切れません。分からないときは、住宅会社や大家さん・管理会社に窓の仕様を聞くのが確実です。
貼ると割れるのはなぜか
ガラスの一部だけが温まったり冷えたりして温度差が大きくなると、ガラスが割れることがあります。これを熱割れといいます。網入りガラス、Low-Eガラス、真空二重ガラスなどは、シートを貼ると熱割れのおそれがあるガラスです。
貼れるかどうかは、シートとガラスの組み合わせで変わります。最後は購入する商品のパッケージや説明書の「使えるガラス」で確認してください。
ガラスの種類と水貼りシートの早見表
ガラスの種類 | 見分け方 | 水で貼るタイプのシート |
|---|---|---|
透明な1枚ガラス | 凹凸・ワイヤー・刻印なし | 多くの商品で対応(パッケージで確認) |
網入りガラス | 中にワイヤーが見える | 貼らない |
くもりガラス(型板) | 触るとザラザラ | ザラザラ面は不可。凹凸用の専用品か専用シール |
複層ガラス | 端に2枚のガラスと枠が見える | 商品ごとに異なる。パッケージで確認 |
Low-Eガラス | 「LowE」刻印・エコガラスマーク | 貼らない |
※ニトムズ製品の案内をもとにした目安です。他社製品は各商品の表示に従ってください。
参考: - 日本板硝子「板ガラスの製品一覧」 - 日本板硝子「複層ガラス」 - 日本板硝子「Low-Eガラス入門」 - YKK AP「すでに取付けているガラスがLow-Eのガラスか確認したい」 - ニトムズ「窓ガラス断熱シートの貼り方・注意事項」 - ニトムズ「まどエコ FAQ」 - ニトムズ「窓まわり・結露対策 FAQ」
賃貸で窓の断熱をするときの注意
賃貸でも窓の対策はできます。気をつけたいのは、はがせるものを選ぶこと、結露を放置しないこと、工事を伴う対策は大家さんに相談することの3つです。退去のときに困らないよう、買う前に確認しておきましょう。
はがせる水貼りタイプを選ぶ
賃貸では、水で貼ってはがせるタイプが扱いやすいです。シーズンが終わったらのり残りせずはがせる、とうたう水貼りシートもあります。
反対に、両面テープや両面シールで貼ると、はがすときにのりが残るおそれがあります。くもりガラスに専用シールで貼った場合は、推奨期間を守って貼り替えてください。
結露を放置しない
退去時のトラブルで気をつけたいのが結露です。結露を放置して部屋にシミをつくると、借りた物を注意して使う義務に反したとして、借主の負担になりうるとされています。
シートを貼っても結露がなくなるとは限りません。窓や窓枠がぬれていたら拭く習慣を続けておくと安心です。実際の負担は、契約内容や状況によって判断が変わります。
内窓やガラス交換は大家に相談
内窓の取り付けやガラス交換は、国の「先進的窓リノベ2026事業」の補助対象です。対象者には、借りて住んでいる人も含まれています。
補助金の対象になることと、大家さんの承諾がいらないことは別の話です。工事を伴う対策は、先に大家さん・管理会社に相談してください。
参考: - 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」Q&A - 先進的窓リノベ2026事業「対象要件」 - ニトムズ「窓ガラス断熱シート Wフォーム水貼り/グリッド水貼り」発売資料
窓の断熱シートの選び方|悩み別
選ぶ順番は、窓の種類 → 悩み → 手段です。前の章で自分の窓に貼れるシートの種類を確かめたら、次は「何に困っているか」で手段を絞ります。寒さ、結露、明るさのどれを優先したいかで、合うものが変わります。
手段 | 手軽さ | 向いている悩み | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
断熱シート | 貼るだけ | ガラス面の冷え | 貼れないガラスがある |
断熱ボード | 置くだけ | 窓の下から来る冷気 | 窓の下半分しか覆えない |
断熱カーテン | 付け替え | 窓全体の冷え・夜の冷え込み | 閉めている間だけ効く |
内窓 | 工事が必要 | 窓全体の冷えを根本から | 費用がかかる・賃貸は要相談 |
ガラス面の冷えならシートを全面に
ガラスに手を当てると冷たい、窓際に座ると寒いという場合は、シートが合います。ガラス全面を覆えるサイズを選び、早見表で自分の窓に使える種類かを確かめてから買ってください。窓の下からスースーする冷気が気になるなら、ボードとの組み合わせを考えます。
結露はシートだけに頼らない
シートでガラスの室内側が冷えにくくなると、結露の出方が変わることはあります。ただ、結露は室内の湿気や換気とも関わるため、シートだけで解決するとは限りません。
明るさを残すなら透明タイプ
透明タイプのシートを選べば、光を通しながら対策できます。気泡の模様があるシートは外が見えにくくなるので、景色を残したい窓には透明度の高いタイプが向きます。カーテンやボードは、閉めている間・置いている間は光をさえぎる点も考えておきましょう。
断熱シートで足りないときの次の手
シートを貼っても寒い場合は、手軽な順に1段ずつ対策を足していきます。ボード、カーテン、内窓の順です。東北のように冬の冷え込みが厳しい地域では、はじめからシートとボード・カーテンを組み合わせる、つまり1段上から考えるのも現実的です。
断熱ボード
窓の下に立てて置くボードは、窓で冷やされて床へ流れ落ちる冷気をさえぎるための道具です。置くだけなので、網入りやLow-Eなどシートを貼れないガラスでも使えます。ただし、どれだけ暖かくなるかを示す試験データは販売元の商品ページでも見当たらないため、ここでは数字を出しません。
断熱カーテン
わが家では、居間にニトリのグレーの断熱カーテンを5〜6年ほど使っています。温度を測ったわけではありませんが、一般的なカーテンよりも効果を感じています。
カーテンは窓全体を覆えるので、ガラスの種類を問わず使えます。効かせるコツは次の3つです。
- 厚手のカーテンを選ぶ
- 床まで届く長さにする(窓の下から流れる冷気も抑えやすくなる)
- 昼は開けて日差しを入れ、日が落ちたら閉める
内窓・ガラス交換と国の補助金
窓そのものを替えるなら、国の「先進的窓リノベ2026事業」が使えます。内窓の設置やガラス交換などが対象で、申請は登録された工事業者が行います。予約申請は2026年11月16日まで、交付申請は12月31日までの予定ですが、予算の上限に達すると期限前でも終わります。補助額や対象製品は公式ページで確認してください。
窓の対策と暖房の見直しはセットで
窓で逃げる熱を減らしても、暖房そのものが部屋に合っていなければ寒さは残ります。寒冷地でのエアコンの選び方と電気代は、寒冷地のエアコン記事でまとめています。窓と暖房の両方から見直すと、冬の過ごしやすさが変わります。
参考: - 山善公式通販「窓際あったかボード」 - 資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約(空調)」 - 政府広報オンライン「省エネのポイントを部屋別にご紹介!」 - 先進的窓リノベ2026事業 公式
窓の断熱シートのよくある質問
プチプチでも効果はある?
梱包用の気泡シート(プチプチ)も空気の層をつくるので、ガラス面の冷えを和らげる考え方は同じです。ただ、窓用の商品と違って、使えるガラスの表示や、はがしやすさの説明はありません。熱割れのおそれがあるガラス(網入り・Low-Eなど)には貼らないでください。
100均の断熱シートでも大丈夫?
ダイソーでも窓用の断熱シートが売られています。ただ、公式ネットストアの商品ページには、使えるガラスの一覧が見当たりませんでした。買うときはパッケージで使えるガラスを確認してください。なお、すりガラス対応の商品は税込550円で、100円の商品ではありません。
貼ると窓が割れることはある?
あります。網入りガラスやLow-Eガラスなどは、シートを貼ると熱割れのおそれがあります。自分の窓の種類は、この記事の「自分の窓の見分け方」で確かめてください。
断熱シートのデメリットは?
主なデメリットは次のとおりです。
- 模様のあるシートは外が見えにくくなる
- 貼れないガラスがある
- 両面テープや両面シールで貼ると、のり残りのおそれがある
- サッシやすき間からの冷えには効かない
貼ったままにしても大丈夫?
どの商品にも共通する交換時期は決まっていません。ダイソーの商品は定期的な取り替えを案内しており、専用シールで貼った場合は6か月を目安に貼り替えるよう案内している商品もあります。使っている商品の説明書に従うのが確実です。
断熱シートで結露は減る?
ガラスの室内側が冷えにくくなるぶん、結露の出方が変わることはあります。ただ、結露は室内の湿気とも関わるため、シートだけでなくなるとは限りません。
参考: - ダイソーネットストア「窓ガラス断熱シート(透明)」 - ダイソーネットストア「すりガラス対応窓ガラス断熱シート」(価格は2026年9月時点)
まとめ
窓の断熱シートは、窓際の冷えを和らげる道具です。部屋全体を暖めることや、サッシ・すき間の冷気を止めることはできません。
買う前にやることは、自分の窓の種類を確かめることです。網入り・Low-Eは貼らない、くもりガラスのザラザラ面は専用品を選ぶ、と覚えておけば大きな失敗は避けられます。賃貸なら、はがせるタイプを選び、結露は放置しないようにしましょう。
- 透明な1枚ガラスで窓際の冷えが気になる → 断熱シート
- シートを貼れない窓・下からの冷気 → 断熱ボード・断熱カーテン
- 窓全体を根本から変えたい → 内窓と補助金

